
一度手にしてしまった「便利」な道具を手放すのは、なかなかできるものではない。
携帯電話が発売されたばかりの頃は、電磁波が脳に与える影響が計り知れないと言うことから、子供に持たせるのはもっての外だと考える大人が多かった。
しかし、普及が進んだ今では、塾の行き帰りなどの子供の安全を守るため、GPSが搭載された携帯を子供達に持たせる親がむしろ増えている。
最近では、電磁波が身体に与える影響について心配する声も、ほとんど聞かれない。
ましてやパソコンは、その便利さから、ありとあらゆる場で必要不可欠なものとなっている。
朝、会社に出社して、自分一人パソコンがないという状態だったら、どうだろう・・・
想像するだけで溜息がもれ、ちょっとした疲労感を覚える。
会社の仕事の流れからは、確実に遅れてしまう。
お客様にいちいち電話をかけて確認したり、社内でも何かにつけ話しかけてうるさがられるかもしれない。
心の中は、「焦り」と、取り残されたような「孤立感」に苛まれることだろう。
一時的な故障ではなく、「無い」のだから、これが連日続くことになる。
そんな状態がどれくらい続けば、開き直って「焦り」から解放されるのか。
効率を求めるような仕事ではなく、修行を積んで身につけていくような職人的な仕事に就かない限りは、なかなか心の平穏は訪れないのかもしれない。
自分だけでなく、パソコンの無い世界に戻るというのなら、話は別だ。
今はもうセミリタイアしたようなグラフィックデザイナーの人気が再び出てくるかもしれない。なぜなら彼らはフリーハンドで、機械が描くような美しい円を描くことができる。
また、そろばんの心得があるということが、経理の第一条件になるかもしれない。
地球温暖化やエネルギー問題が叫ばれて、ろうそくだけで夜を過ごすという日が設けられているが、パソコンの電源を入れず、日々の仕事をしてみるという試みは行われていないようだ。
パソコンの使用時間が1時間短くなるだけでも、ずいぶん省エネになるはずだが、効率第一のビジネス界では、もはや試みを口にすることすら難しいことなのかもしれない。
ペンネーム:パレルモ
第2回「もしパソコンが無くなったら」|11 / 04 / 06
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